研究会第2回HINDOWS文学研究会「戦争と文学」

日時
2023年3月24日

山根聡「ヒンドゥーとムスリムの対立と言語 ―19世紀末ラーホールの刊行物を通してみえるもの―」
長崎広子「ラーマはなぜラーヴァナと戦ったのか―トゥルシーダース著『ラームチャリットマーナス』における戦の大義―」

成果

オンラインで開催された第2回HINDOWS文学研究会では、「文学と戦争」をテーマにHINDOWSメンバーの長崎広子と山根聡が発表を担当した。HINDOWSのメンバー合計6名の参加があった。
長崎広子は、ヒンディー語版ラーマーヤナであるトゥルシーダース著『ラームチャリットマーナス』(16世紀)におけるラーマとラーヴァナとの戦いの大義に焦点を当て、トゥルシーダースが新たに加えた要素のために戦いの理由が曖昧になり、解釈の幅が生まれていることを指摘した。山根聡はイギリス植民地下のインドでヒンドゥー教徒とムスリムの対立が鮮明化する頃に、ヒンドゥー教徒によって出版された広報誌『牝牛の嘆き』を取り上げ、その内容が予想されるようにムスリムを敵対的に描くものではなく、ウルドゥーの詩の形式を使い、ムスリムの文章を引用するなど、ムスリムに歩み寄り、戦いを回避しようとするものであったことを明らかにした。

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